デザインの始まりは、対話から
- Reiko Katayama
- 2 日前
- 読了時間: 4分

デザインは、ロゴや色を決める前に「何を大切にしているのか」を明確にするところから始まります。
その手がかりを見つけるうえで欠かせないのが、クライアントとの対話――私が “Discovery” と呼んでいる工程です。
この記事では、この大切な“デザインの始まり”についてお話しします。
Discovery とは「まだ言葉になっていない大切なもの」を見つける作業
Discovery は、単なるヒアリングとは少し違い、例えるなら心理カウンセリングに近いと思っています。
大切にしていること
ブランドを形容する言葉
はじまりや切っ掛け
好きなもの、嫌いなもの
影響を受けた事や物
こうした“小さなパズルのピース”を拾いながら、そのブランドだけが持っている“核”を探していく工程です。
ブランドの本質は、最初から明確な言葉になっているとは限りません。でも、必ずどこかに“存在している”ものです。
Discovery は、それを丁寧に深掘りしながら形にしていく作業だと考えています。
なぜこの工程が、デザイン全体を決めてしまうのか

Discovery によってブランドの核が見つかると、その後のデザインの方向性が決まります。
どんなスタイルでいくか
どんな色が合うのか
余白はどれくらいか
どんな言葉がしっくりと馴染むのか
どんな雰囲気の写真がいいか
ひとつひとつに“理由”が生まれるからです。
逆に、本質が定まっていないまま進めると、見た目にどれだけ気を使っても一貫性に欠け、ブランドの世界観がうまく伝わらなくなってしまいます。
ロゴは“ブランドの顔”であり、家で言うと玄関ドアのような存在

私はロゴの役割を、よく “玄関ドア” に例えます。
玄関ドアは、家そのものをすべてを表現しているわけではありません。でも、
どんな雰囲気の家なのか
どんな人が住んでいるのか
扉を開けた先にはどんな時間が流れているのか
そんな“最初の印象”をそっと伝えてくれます。
ロゴも同じで、ブランドのすべてを語ることはできませんが、スタイルや価値観、トーンや雰囲気を見せてくれます。
玄関ドアのように、ロゴはブランドの世界へ入るための“入口”の役割を担っており、その入口がどんなデザインになるかは、Discovery で見つけた本質によって自然に形作られていきます。
chotto graphics の Discovery は、対話と観察からはじまります
● 対話を通して
私は、クライアントとの対話を特に大切にしています。
話すことで、クライアント自身が気づいていなかった思いや、忘れていた背景、不確かだった考えが少しずつ明確になっていくからです。
どんな価値観を大切にしているのか、どこに心が動くのか、どんな場面に違和感を覚えるのか。対話を重ねるほど、その人ならではの“核”が見えてきます。
● 観察を通して
表情、声のトーン、佇まい、選ぶ言葉。言葉にならない部分にも、その人らしさは表れています。
● 分解する
価値観、背景、強み、こだわり、ターゲット。いったん全てをバラバラにして、余計なものを排除し、整理します。
● 再構築する
残った“本質”に、色、線、言葉、世界観を与えていきます。ここで大切なのが “ちょっと”という考え方。ほんのわずかな違いが、ブランドの印象を大きく変えていくからです。
実例:WA MOGA 29 のブランドは、小さな“違和感”から生まれた

私がカナダで立ち上げたブランド WA MOGA 29 も、最初は「違和感」からはじまりました。
贈り物が溢れている時代なのに、“気持ちが本当に届くギフト”がなかなか存在しない。その矛盾に対する違和感が、ブランドを作る切っ掛けになりました。
Discovery を進める中で見えてきた本質は、
ひとひらの花びらにも宿る美しさ
手仕事が持つあたたかさ
不完全さに惹かれる感性
アートのように物語を持つビジュアル
贈り手の想いを静かに受け取る感情の結びつき
そしてそれが“The Art of Imperfection(不完全さの中の美しさ)”というブランドの軸につながりました。

軸が見えたことで、ロゴ、写真、ディスプレイ、コピー、パッケージ…
すべてが組み合わさることで、WAMOGA29独自の世界観が生まれていきました。
デザイナーとクライアントは“共にブランドをつくる”関係
ブランドの素材を持っているのはクライアントです。
そして、その素材の中から本質を見つけるお手伝いをし、形にしていくのがデザイナーの役割だと考えています。
お互いが協力しながら進めることで、ブランドはゆっくりと、確かな形になっていきます。
まとめ:ブランド作りは対話で決まる

ロゴでも色でもSNSでもなく、ブランドづくりの出発点は Discovery です。
まだ言葉になっていなくても、そのブランドに確かに存在している“核”を一緒に見つける。
その工程があるからこそ、その後のすべてのデザインが自然につながっていきます。
そして、ほんの“ちょっと”の工夫がブランドの印象を大きく変えていく。
これが、chotto graphics が大切にしているブランドづくりの一番の土台です。

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