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デザインの始まりは、対話から


白い背景の上に、単語が格子状に並ぶミニマルなデザインカード。「chotto」という文字だけが縦に強調され、中央に配置されている。

デザインは、ロゴや色を決める前に「何を大切にしているのか」を明確にするところから始まります。


その手がかりを見つけるうえで欠かせないのが、クライアントとの対話――私が “Discovery” と呼んでいる工程です。


この記事では、この大切な“デザインの始まり”についてお話しします。


Discovery とは「まだ言葉になっていない大切なもの」を見つける作業


Discovery は、単なるヒアリングとは少し違い、例えるなら心理カウンセリングに近いと思っています。


  • 大切にしていること

  • ブランドを形容する言葉

  • はじまりや切っ掛け

  • 好きなもの、嫌いなもの

  • 影響を受けた事や物


こうした“小さなパズルのピース”を拾いながら、そのブランドだけが持っている“核”を探していく工程です。


ブランドの本質は、最初から明確な言葉になっているとは限りません。でも、必ずどこかに“存在している”ものです。


Discovery は、それを丁寧に深掘りしながら形にしていく作業だと考えています。



なぜこの工程が、デザイン全体を決めてしまうのか


白を基調としたミニマルなムードボード。ロゴ、名刺、パッケージ、室内写真、テクスチャなど、chotto graphics のビジュアル要素がコラージュのように配置されている。

Discovery によってブランドの核が見つかると、その後のデザインの方向性が決まります。


  • どんなスタイルでいくか

  • どんな色が合うのか

  • 余白はどれくらいか

  • どんな言葉がしっくりと馴染むのか

  • どんな雰囲気の写真がいいか


ひとつひとつに“理由”が生まれるからです。


逆に、本質が定まっていないまま進めると、見た目にどれだけ気を使っても一貫性に欠け、ブランドの世界観がうまく伝わらなくなってしまいます。



ロゴは“ブランドの顔”であり、家で言うと玄関ドアのような存在


白い外壁にシンプルな玄関ドアが設置されたミニマルな家の外観。縦長の窓から室内の光が差し込み、右側には細い枝の木が立っている。

私はロゴの役割を、よく “玄関ドア” に例えます。

玄関ドアは、家そのものをすべてを表現しているわけではありません。でも、


  • どんな雰囲気の家なのか

  • どんな人が住んでいるのか

  • 扉を開けた先にはどんな時間が流れているのか


そんな“最初の印象”をそっと伝えてくれます。


ロゴも同じで、ブランドのすべてを語ることはできませんが、スタイルや価値観、トーンや雰囲気を見せてくれます。


玄関ドアのように、ロゴはブランドの世界へ入るための“入口”の役割を担っており、その入口がどんなデザインになるかは、Discovery で見つけた本質によって自然に形作られていきます。



chotto graphics の Discovery は、対話と観察からはじまります


● 対話を通して

私は、クライアントとの対話を特に大切にしています。

話すことで、クライアント自身が気づいていなかった思いや、忘れていた背景、不確かだった考えが少しずつ明確になっていくからです。

どんな価値観を大切にしているのか、どこに心が動くのか、どんな場面に違和感を覚えるのか。対話を重ねるほど、その人ならではの“核”が見えてきます。


● 観察を通して

表情、声のトーン、佇まい、選ぶ言葉。言葉にならない部分にも、その人らしさは表れています。


● 分解する

価値観、背景、強み、こだわり、ターゲット。いったん全てをバラバラにして、余計なものを排除し、整理します。


● 再構築する

残った“本質”に、色、線、言葉、世界観を与えていきます。ここで大切なのが “ちょっと”という考え方。ほんのわずかな違いが、ブランドの印象を大きく変えていくからです。



実例:WA MOGA 29 のブランドは、小さな“違和感”から生まれた


黒いワンピースを着た人物が、WA MOGA 29 のハーバリウムクラフトキットの箱を両手で持っている。白いパッケージに、細いボトルと花のイラストが整然と並んでいる。

私がカナダで立ち上げたブランド WA MOGA 29 も、最初は「違和感」からはじまりました。


贈り物が溢れている時代なのに、“気持ちが本当に届くギフト”がなかなか存在しない。その矛盾に対する違和感が、ブランドを作る切っ掛けになりました。


Discovery を進める中で見えてきた本質は、


  • ひとひらの花びらにも宿る美しさ

  • 手仕事が持つあたたかさ

  • 不完全さに惹かれる感性

  • アートのように物語を持つビジュアル

  • 贈り手の想いを静かに受け取る感情の結びつき


そしてそれが“The Art of Imperfection(不完全さの中の美しさ)”というブランドの軸につながりました。



白い壁の前に並んだ3段の棚に、ハーバリウム用の小瓶が整然と並ぶワークスペース。テーブルには花材の入ったトレイやプレート、ガラスボトル、道具類がセットされ、ワークショップの準備が整っている。

軸が見えたことで、ロゴ、写真、ディスプレイ、コピー、パッケージ…


すべてが組み合わさることで、WAMOGA29独自の世界観が生まれていきました。



デザイナーとクライアントは“共にブランドをつくる”関係


ブランドの素材を持っているのはクライアントです。


そして、その素材の中から本質を見つけるお手伝いをし、形にしていくのがデザイナーの役割だと考えています。


お互いが協力しながら進めることで、ブランドはゆっくりと、確かな形になっていきます。



まとめ:ブランド作りは対話で決まる


大きな窓から草原を望む、白を基調としたミニマルな部屋。中央に曲線的な白いラウンジチェアが2脚と丸いテーブルが配置され、左側には白いキューブを重ねたオブジェが置かれている。


ロゴでも色でもSNSでもなく、ブランドづくりの出発点は Discovery です。


まだ言葉になっていなくても、そのブランドに確かに存在している“核”を一緒に見つける。


その工程があるからこそ、その後のすべてのデザインが自然につながっていきます。


そして、ほんの“ちょっと”の工夫がブランドの印象を大きく変えていく。


これが、chotto graphics が大切にしているブランドづくりの一番の土台です。

 
 
 

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